森下典子 エッセイ

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2003年5月―NO.8

  


にぎやかな旨さは、
何となくどこかへ出かけたい
気持ちを呼び起こす
ふっと、レンゲ畑がみたくなった
セブンイレブンの「ご予約弁当」



セブンイレブンの「彩り御膳」
(画:森下典子)

 「彩り御膳」の蓋を開けると、ぶりの照り焼き、焼きタケノコ、煮物、茶花豆、海老フライ、鶏もろみ焼き、湯葉巻き海老あんかけ、さつまいもの天ぷら、ホタテの照り焼き、などが美しく詰め合わされていた。
 一方、母がとった「ちらし寿司」には、いくら、海老、焼き鮭、タケノコ煮、錦糸玉子、絹さやなどが散りばめられ、おかずコーナーに煮物、厚焼き玉子、焼きつくね、などが詰められている。
「いただきまーす!」
 椎茸の煮物を食べて、まず、(おっ)と思った。出汁がよく染みている……。ぶりの照り焼きを一切れ食べた。いい味だ……。そして、お赤飯を口に運んだ。パリッと炊き上がり、赤紫の一粒一粒がピカピカと光って立っている。やや固めのお赤飯が好きな私には、まさに好みの味である。小袋に入った「胡麻塩」を振り掛けると、なお旨い。「うちのお赤飯は評判がいい」と言った、レジのお兄さんの顔を思い浮かべた。
「ちらし寿司」を食べていた母が、
「ちょっと、おいしいから食べてごらんよ」
 と、折りを私の前に置いた。
 酢飯のほどよい甘酸っぱさに、錦糸玉子、焼き鮭、いくら、椎茸などが混じり合う。ちらし特有の、そのにぎやかな旨さは、何となくどこかへ出かけたい気持ちを呼び起こした。
 私は、ふっと、レンゲ畑が見たくなった。そうだ、ピクニックに行こう。セブンイレブンのお弁当とお茶を持って。

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