身近な生活の中のおいしさあれこれを1ヶ月に1度お届けします 森下典子
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2005年5月―NO.32
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「ん〜」 そのやさしい食感にほだされ、
思わず、 自分の小鼻がふくらむのがわかった

清月堂の「おとし文」


清月堂の「おとし文」
清月堂の「おとし文」
(画:森下典子)

 ところで、お茶の稽古場でも、何度か、
「清月堂の『おとし文』」
 というお菓子を食べたことがある。
 黄味餡を、こし餡で包んで蒸した和菓子で、ピンク色の薄紙に1つ1つ包まれていた。薄紙をそおっと開くと、トリュフ・チョコレートくらいの一口サイズの丸っこい菓子が可愛らしく、うずくまっているのだ。
(この丸っこい「おとし文」は、どう見ても、いにしえの巻紙の形ではない。私が中学時代に、先生の目を盗んで投げ合ったのと同じ、紙を丸く玉にしたものだ)
 この「おとし文」の茶色い「こし餡」の表面は、よく見ると、あちこちがほっこりと地割れしていた……。
 実は、私は和菓子の、この「地割れ」が大好きなのだ。
 以前、「黄味しぐれ」という和菓子をよく食べたが、「黄味しぐれ」も、こし餡を蒸したもので、表面が地割れし、それが実においしそうに見えた。
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