身近な生活の中のおいしさあれこれを1ヶ月に1度お届けします 森下典子
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森下典子エッセイ バックナンバー
2006年12月―NO.50以前はこちら

2017年2月―NO.167
人を驚かすって、実に楽しい。
西川屋老舗の「長尾鶏の玉子」

2017年1月―NO.166
私は時々、あの丼の底の見えないこってりとした
醤油色のスープを思い浮かべる日がある。
どうやら、徳島ラーメンの底深さに、捕まってしまったらしい。

東大の「徳島ラーメン」
2016年12月―NO.165
来年こそは是非、情熱的に燃え上がる秋の色で包んだ寿司を味わいたい。
山の辺の「紅葉の柿の葉すし」
2016年11月―NO.164
菓子器を開けると、白とグレーの地味な生菓子である。
けれど、菓子楊枝で切った途端、
「わぁ!」と、灰に埋もれた奥の火に歓声が上がった。

田町梅月の「埋み火」
2016年10月―NO.163
かつて遊郭からの注文も受けていたという店だ。
花魁たちも、この菊最中を味わっていたことだろう……。

二葉家菓子舗の「菊最中」
2016年9月―NO.162
口に入れると、アーモンドの風味が香り、
「サクサクサクサク」 「パリパリパリパリ」
と、実に心地よい音が頭蓋骨に響く。

レーヴドゥシェフの「シューラスク」
2016年8月―NO.161
これはうまい。大人向けの餡子だと思った
花こうろの「こぼれおはぎ」
2016年7月―NO.160
「あじさいだよ」
「わぁ、きれい……。季節だねえ」

金米堂本店の「あじさい」(生菓子)
2016年6月―NO.159
むしむしする日には、
すっきりとしたレモン風味の白蜜がいい。
涼やかなガラスの器で、冷たく甘酸っぱいくずきりを、
つるつると啜りたい……。

オハラの「くずきり」

2016年5月―NO.158
「世界一おいしいチョコレート」と称されるベルギーのチョコ
ギリアンの「シーシェルチョコレート」

2016年4月―NO.157
桜を思い、桜で遊ぶ。そんな国に生まれてよかった。
春の和菓子いろいろ(亀屋伊織の「干菓子」、利休忌の「おぼろ饅頭」、松屋本店の「吉野懐古」、紅梅屋の「さまざま桜」)

2016年3月―NO.156
饅頭の皮はしっとりとした薯蕷で、おいしそうだ。
青野総本舗の「桃まんじゅう」

2016年2月―NO.155
「酢味噌」と「からし酢味噌」さえあれば、
なんだか野草を食って生きていけそうな気がする

マルサンの「酢味噌」と「からし酢味噌」

2016年1月―NO.154
パイの軽やかさに誘われて、
つい二本、三本と続けて食べてしまうのだ。

ベルンの「ミルフィユ」

2015年12月―NO.153
叔母に促されて蓋を開けた瞬間、「………!」
私はあまりの美しさに声を失った。

マッキントッシュの「クオリティストリート」

2015年11月―NO.152
味のある、私的三大和菓子である。
亀十の「どら焼き」、「松風」と橘香堂の「むらすずめ」

2015年10月―NO.151
うまい……。
私が小学生の頃に食べたコロッケパンが、
まさにこんな味だった。

キャッスルの「コロッケパン」

2015年9月―NO.150
今夜は、二十数年ぶりにおでんである。
目指すのは、小学校四年生の夏休みに食べた
プールサイドの味だ。

紀文食品の「おでん種」

2015年8月―NO.149
わが家の家族にとって、焼ビーフンは、とりもなおさず父の思い出である。
ケンミン食品の「焼ビーフン」

2015年7月―NO.148
徹夜明けの「ペヤング」はうまかった。
解放感と空腹には、ソース焼きそばのジャンキーな香りでなければならなかった。
麺のウェーブに絡んだ甘辛いソースのフルーティーな味が、
青のりの風味が、疲れた体の欲求に応えてくれた。

まるか食品の「ぺヤングソース焼きそば」

2015年6月―NO.147
しめ鯖の瑞々しさと、ほんのり甘い米とのバランス、柿の葉の香り……。
柿の葉すし本舗の「柿の葉すし」

2015年5月―NO.146
頭の中で「お江戸日本橋七つ立ち」のメロディーが
聴こえるような気がした。

榮太樓総本舗の「繁盛団子 味たら志」と「日本橋餅」

2015年4月―NO.145
新鮮なミルクの風味が白餡と混じり合い、
ふわふわした餅の食感とないまぜになって、
口の中ではかなく消えていく……

菓匠白妙の「白牛酪餅」

2015年2月―NO.144
表面は薄氷をかみ砕く食感だが、中はとろりとして、
その混ざり合う感触が小気味いい。
表面が白く糖化しているというのに、甘みがくどくない。
それは、甘みが少ないのではなく、たぶん、純粋なのだ。

村岡総本舗の「小城羊羹」

2015年1月―NO.143
大ぶりなのに、次から次へと箸が止まらず、
いちいち「う、うまい」と、呻いてしまう。
華正樓の「シュウマイ」

2014年12月―NO.142
ギュッと詰まった濃厚なうまみと、香辛料のバランスに、
なんだか本格的なヨーロッパの味がする。

シュマンケルステューベの「レバーペースト」

2014年11月―NO.141
噛む必要など一切ない。
舌と上あごの間で、 くだけ、ほどけ、

とろーんと水になって、体にしみた。
美濃喜の「丁稚羊羹」

2014年10月―NO.140
京都の味といえば「にしんそば」。
そんな「にしんそば
」のおいしい季節が、今年もやってきた。
松葉の「鰊棒煮」

2014年9月―NO.139
薄くコーティングされた
ホワイトチョコレートの下のケーキも
しっとりとして、ふわふわと沈み、
レモンの風味が香る……。

パティスリー1904の「しまなみレモンケーキ」と
フランセの「横濱ハニーシトロン」

2014年8月―NO.138
小川軒のレイズン・ウィッチには、
どこかバブル時代より前の、古き良き東京の味がする。
モノづくりの丁寧な心と、
高級な大人文化が生きていた東京の味である。

巴里小川軒の「レイズン・ウィッチ」

2014年7月―NO.137
私が好きなのは、オーソドックスで素朴、そして幸せそうな色をした
同發の「マーライコウ」

2014年6月―NO.136
甘酸っぱい梅の味に、顔の真ん中がキュッとすぼまった。
と同時に、口の中いっぱいに爽やかな梅の風味が広がり、新鮮な唾液がいつまでも尾を引くようにあふれるのである。

佐藤松兵衛商店の「のし梅」

2014年5月―NO.135
プルプルとしたのを楊枝で切って口に入れると、
ひんやりとしたものが、ゼリーのようにつるんと
喉に滑り込み、笹のさわやかな香りと一緒に
優しい甘さが口に広がり、実に快い。

和久傳の「西湖」

2014年4月―NO.134
串に四つ刺さった扁平な餅の、柔らかそうな艶肌……。
生醤油をつけて焼いた茶色い焦げ目。
そして、見るからにあっさりとした漉し餡の、
美しい淡い紫……。

羽二重団子の「羽二重団子」」

2014年3月―NO.133
どこか、早春の冷たい風の中の、
一筋の梅の香りを思わせた。

藤丸の「清香殿」

2014年2月―NO.132
時代を超えても変わらぬ真面目な風味が、
鼻孔をくすぐった。

洋菓子舗ウエストの「ドライケーキ」

2014年1月―NO.131
「カリっ!」そうだ。この乾いた音が聞きたかった!
「ガシャ!」と、砕ける、この快感が懐かしい。
これぞ私が愛したかりんとうだ。

豆源の「大黒かりんとう」

2013年12月―NO.130
この豆大福と、蒸しきんつば、
父が食べたら何と言ったろう。
きっと、驚いた顔で「うんまい!」と唸ったに違いない。

和菓子処 四代目松川の
「豆大福」と「丹波白小豆の蒸しきんつば」

2013年11月―NO.129
肉のいい香りと、カツの衣の食感と、
まろやかなソースの味と、
パンの優しい香ばしさが口の中で混じり合う。

新世界グリル梵の「極上ビーフヘレカツサンド」

2013年10月―NO.128
蓋を開けた途端、おかずの色どりの豊さに、
思わず「わぁー!」と声が出た。
そして、一つ一つ、口に入れるたび、
丁寧な味に唸らされた。

菊乃井の「高台寺」

2013年9月―NO.127
予定調和に流れがちな味に、
意外性の一石を投じた確信犯的な料理かもしれぬ。

小袖屋の「久慈まめぶ汁」

2013年8月―NO.126
あのふわふわ、とろとろとして、しなだれる感触。
しっとりしていながら、さっくりと軽くて、口の中でとろーっとほどける食感……。

billsの「リコッタパンケーキ」

2013年7月―NO.125
甘酸っぱい醤油ダレとからみ合った
細麺の特有の歯ごたえ……。
その時、私の鼻の奥に、
青空の下のプールの水の匂いが、一瞬がよぎる。

サンサス商事の「きねうち生麺 冷やし中華麺」

2013年6月―NO.124
あぁ、京都だなぁ……と思った。
白く美しくモチモチと柔らかい。
ほのかな甘さで、小ぶりで、
ほんの二口、三口で終わってしまう。

三條若狭屋の「祇園ちご餅」

2013年5月―NO.123
錦玉の透明度が高く、ほのかに青い。
光の加減で、微妙に紫を帯びているようにも見える。
その色が、何とも涼やかでひんやりと見える。
その美しい青を透かして、かすかに白餡が見えている。

こまきの「あじさい」

2013年4月―NO.122
インスタントラーメン史に、
新たな歴史が生まれたことは、疑いがない。

東洋水産の「マルちゃん正麺 味噌味」

2013年3月―NO.121
おいしさとは、記憶の安心感だ。
この味は、昔から多くの文人墨客にも愛されてきたのだ。

大船軒の「鯵の押寿し」

2013年2月―NO.120
口に入れた途端、それはみずみずしくとろけて形を失い、 舌の味蕾に優しい甘さの印象だけが残った。
萬々堂通則の「糊こぼし」

2013年1月―NO.119
黒い奈良漬を味わった時、思った。
(「コク」とは、この味かもしれない……)
そのコクを見極めるように食べ続けていると、
やがて目のあたりがボーっとして、
いい気持ちになってきた。

今西本店の「純正奈良漬」

2012年12月―NO.118
口に入れると、皮は「どら焼き」のようにしっとりしていて、
中には餡がみっしりと入っている。
形は小さいが、ほどよい甘さと小豆の風味が、歩き疲れた体に浸み渡る。

桃林堂の「小鯛焼き」

2012年11月―NO.117
特別変わったものがはいっているわけではない。
ラム酒に漬かったレーズンだけだ。
それなのに、パウンドケーキの本当のおいしさというものを
初めて知った気さえする。

ゴンドラの「パウンドケーキ」

2012年10月―NO.116
久々に、土鍋を開けると、牛蒡や鶏肉、椎茸、栗……
一つ一つの具を味わいながら、
あの横川駅のおじぎを思い出した。

おぎのやの「峠の釜めし」

2012年9月―NO.115
そもそもは遣唐使が持ち帰ったという
歴史的な価値がある。
当時は貴族の口にしか入らない
とんでもない高価なお菓子だったのだ。

亀屋清永の「清浄歓喜団」

2012年8月―NO.114
口に入れると、餡子の上品な甘みと、もちもちとした求肥の食感が混じり合い、
口いっぱいに優しい味が広がった。

松寿軒の「虫の音」

2012年7月―NO.113
小さく切り分けた、このミニチュアの西瓜を口に入れると、 西瓜の味はついていないはずなのに、夏の縁側の解放感と蝉の声を思い出す。
榮太樓總本鋪の「西瓜まんじゅう」

2012年6月―NO.112
「はーっ」 このほどけるような柔らかさ、
葛の風味の繊細さ。
そして、葛焼きの後にいただくお茶の、
なんとおいしく舌にしみいることか。

三はし堂の「葛焼き」

2012年5月―NO.111
ひんやりして甘い。……ところが、その甘さの中に、
何やら異質な味が入り混じる。
味噌のような風味で、初めは異質に感じるが、
口の中で甘味と入り混じり、
次第にさっぱりとした大人の味に変わる……。

亀屋則克の「浜土産」

2012年4月―NO.110
「茂助だんご」を食べるたび、
私は「団子の美学」とでも言うべきバランスの妙を感じる。

築地魚がしの「茂助だんご」

2012年3月―NO.109
ふと「春の神」の裳裾に触れた様な気がした。
木村屋總本店の「酒種あんぱん」

2012年2月―NO.108
その旨みは、去って行く懐かしい人の後ろ姿のように、
いつまでも後を引いた。

アルパジョンの「朝の八甲田」

2012年1月―NO.107
カリッと乾いた表面の素朴な触感が、
頭の中にザクザクと響く。 中のふわふわ。
そして、甘みとアーモンドの香ばしさ……。

大麦工房の「大麦ダクワーズ」と「大麦グラスロール」

2011年12月―NO.106
それは、今まで食べたどのアップルパイとも違っていた。
シロップに漬けこんだ丸ごとのリンゴの
歯触りがシャキシャキと生きている。
それを包んだ薄いパイ皮のバターの香りが、香ばしい。

ラグノオささきの「気になるりんご」

2011年10月―NO.105
値塩が甘味を引きたてているのではない。
甘味が塩を引き立てている。主役は「塩」の方だ。
その塩味が、全体をまろやかに包んでいる。

パティスリーアンジェリーナの「旨塩ずんだシュー」

2011年9月―NO.104
値千金の、その一すすりを、私は忘れることができない。
三陸の海は、なんて豊かで濃厚な味がするのだろう。
あまりに奥深く、濃厚な味に、正座し直して、すすった。

味の加久の屋の「いちご煮」

2011年8月―NO.103
うまい……。実にうまい。
体が、「もっと、もっと!」と欲しがるのだ。

長榮堂の「富貴豆」

2011年7月―NO.102
あくまでも白く白く透け、もちもちと柔らかく、
ぷりぷりと弾力があって水も弾く……。
皇帝を虜にした傾国の美女の肌を思い描きながら、
私はビールを片手に、「笹かまぼこ」をかみしめる。

白鎌の「笹かまぼこ」

2011年6月―NO.101
「形あるものは何もなくなったが、
酒造りの技術と心は残っている……」
何年か先の冬、祖父と父が好きだった、
あの白い酒を味わう日が、またきっとくる。

酔仙酒造の「雪っこ」

2011年5月―NO.100
絵画も文学も音楽も、
大人にならなければわからないものがあるように、
大人にならなければわからない和菓子がある。

松栄堂の「田むらの梅」

2011年4月―NO.99
パリパリとはじける皮の中から、
ふわんと香る胡麻の風味……

白松がモナカ本舗の「白松がモナカ」

2011年1月―NO.98
今の日本は、居ながらにして
世界中のおいしいパンが食べられる美食の国だ。
その出発点に、あの元町ポンパドウルの、
熱々のバゲットの、
ピキッ、ピキッと皮の爆ぜる音があった気がする。

ポンパドウルの「デニッシュペストリー」

2010年12月―NO.97
ねっとりとした甘みと豆の味が、
舌の味蕾を通過して体に染み渡った。

両口屋是清の「干支羊羹」

2010年11月―NO.96
干し柿のねっとりとした濃厚な味と、
栗きんとんのもそもそとした素朴な甘みが、
口の中で混じり合う……。
満天星一休(どうだんいっきゅう)の「杣の木洩れ日」
2010年10月―NO.95
むっちり、もっちりと噛みごたえがあり、
西京味噌の香ばしい甘みやほのかな塩気、
ゴマの風味が口の中で混じり合って、
優しさに包まれ、うっとりとなった。

松屋常盤の「味噌松風」

あけぼのの「あけぼのさけ」

2010年9月―NO.94
台風の夜に食べた缶詰の味は忘れられない。
ノザキの「牛肉大和煮」、 あけぼのの「あけぼのさけ」


2010年8月―NO.93
記録的な猛暑の続くこの夏、
ワンタンの、あのちゅるんとした皮の感触が、
私は無性に恋しい。

東京ワンタン本舗の「ワンタンの皮」


2010年7月―NO.92
どうしても忘れられない「皿うどん」がある。
蘇州林の「皿うどん」


2010年6月―NO.91
私は、自分が水羊羹の中にいるように感じた。
菊家の「水羊羹」


2010年5月―NO.90
その記憶のせいだろうか。
私は今でも、関西風のお好み焼きを食べる時、
頭の奥で、「こんにちはーこんにちはー」と、
三波春夫の歌声を聴く。

大阪万博の「お好み焼き」
(日清フーズの「フラワー 薄力小麦粉」)


2010年4月―NO.89
元祖・インスタントラーメンは、
青春の下宿屋の味がする。
日清食品の「チキンラーメン」


2010年3月―NO.88
粒々がしっかりしていて、
先にふわんと日本酒が香り、
それからピリッと辛く、
そして最後にほのかに柚子が香るのだ。

やまやの「辛子明太子」


2010年2月―NO.87
白餡の上品な甘さと共に、
日本の美意識の豊かさに心が満たされる。

三英堂の「四ケ村」(しかむら)


2010年1月―NO.86
マネケンの「ベルギーワッフル」ができ、
日本にワッフル・ブームが起こった。
今では、誰もがワッフルを知っているし、
食べたい時いつでも食べることができる。

マネケンの「ワッフル」


2009年12月―NO.85
辛い時、苦しい時、
あの幸せな瞬間の記憶が、「生きていく力」になってくれる。

森永製菓の「ホットケーキミックス」


2009年11月―NO.84
生醤油とやげん堀の七味がかかっている。
そりゃあ、とまらないのはわかっている。
また罪深いものを知ってしまった……。
よ兵衛の「生醤油唐辛子」


2009年9月―NO.83
子供の頃は苦手だったのに、
今はピカピカ光る「半殺し」のもち米と
甘い餡子の組み合わせが、体にしみる。

サザエ食品の「十勝おはぎ」


2009年8月―NO.82
これが「わらびもち」なら、
私が今まで食べてきたのは
なんだったんだろう?

こ寿々の「わらびもち」


2009年7月―NO.81
起きぬけのカレースープの味は、さわやかな刺激である。
頭皮にじんわりと汗がにじむ。
軽く興奮したように頭の芯がカーッとし、
くっきりと目が覚める。
思いなしか、いつもより「やる気」が出る気がする

GABANの「手作りのカレー粉セット」


2009年6月―NO.80
京都からわざわざやってきた、
手のひらで包めるほどの小さい世界。
蛍の光が照らす範囲の小さな美の世界の、
この充実感はなんだろう。

末富の「沢辺の蛍」


2009年5月―NO.79
口に入れると、 もっちりとした外郎の触感と、
黄身餡のまろやかな甘さが混じり合い、
目にも舌にも、豊さが広がる。

塩瀬総本家の「びわ」


2009年4月―NO.78
口に入れると、葛がひんやりとし、うっすらと甘い。
なめらかに口どけして、すーっと消える。
日本の初夏の冷たい葛菓子である。

美濃忠の「初かつを」


2009年3月―NO.77
鯛焼きって、なんでこんなにうまいんだろう。
どら焼きも、今川焼きも、人形焼きもあるのに、
なぜか鯛焼きでなくてはダメな時があるのだ。
不思議だ……。

新世界の「鯛焼き」


2009年2月―NO.76
風土が生み出した和菓子は、
こんなにも洗練されている……。

五郎丸屋の「薄氷」


2009年1月―NO.75
なんだろう、この安堵感。
埋まり込みながら、
顔がすっかり緩んでしまうのだ。

まい泉の「ヒレかつサンド」


2008年12月―NO.74
奥の奥から、深〜い味がわいてきて、
心と脳に沁みていく。
感情のようなさまざまな味と香りが、
分かちがたく混じり合う。

近為の「味噌たくあん」


2008年11月―NO.73
さらさらした卵風味の黄身餡が、
極上の小豆餡と口の中で混じり合い、
そこに栗の味と歯触りが入り混じる。
この調和……。

大吾の「爾比久良」


2008年10月―NO.72
私と母は、半口食べて、初めての味と触感に、
思わず顔を見合わせ、一斉に言った。
「うわーっ!」 「おいしー!」

ちもとの「八雲もち」


2008年9月―NO.71
さらさらとした、なんてきれいな味だろう!
餡をどれほど丹念に晒せば、この「さらさら」になるだろう
きめ細かい舌触りを追いかけるように、
ちょっと遅れて、小豆の風味がやってくる

山田屋の「山田屋まんじゅう」


2008年8月―NO.70
十勝産の小豆を丹念に晒したという餡子は
サラサラとして、甘味も抑えられ、実にさっぱりとしている
口の中に、小豆の風味が豊かに香った

徳太樓の「きんつば」


2008年7月―NO.69
これを1粒頬張ると、ほどよい酸味とまろやかな甘みに、
こんこんと新鮮な唾液が湧き、
深い旨みの境地に連れて行かれる

梅いちばんの「黄金漬」


2008年6月―NO.68
愛知の麺はデリケートである
芝安の「梅・昆布うどん」


2008年5月―NO.67
これらが食卓に並んでいたら、私は何も言うことはない
幸福は、虹の向こうや山の彼方ではなく、皿の上にある

魚久の「粕漬け」


2008年4月―NO.66
一切れ全部食べ終わったら、
心がふわ〜んと大きな弧を描いて、
遠くへ飛んだ気がした

砂田屋の「酒ケーキ」


2008年3月―NO.65
優しく滋味豊かな、
お豆腐屋さんの良心の味がした。

鎌倉小町の「豆乳パウンドケーキ」


2008年2月―NO.64
人はこんなにささやかな飴菓子で、
豊かさを感じることがある。

九重本舗玉澤の「霜ばしら」


2008年1月―NO.63
「京女みたいだ……」
前歯が薄いひとひらをサリッと噛むたび、
私はその薄さと繊細さに感動した。

大藤の「千枚漬」


2007年12月―NO.62
どこをとっても本格的である。
これがあれば私はもう、
冬の夜、「鍋焼きうどん」食べたさに、悶えることはない。
キンレイの「鍋焼うどん」


2007年11月―NO.61
なるほど、これは何もいらない。
醤油もネギも鰹節も邪魔になる。
豆腐って、そういうものだったのか!と、膝を打った。
太田豆腐店の「竹豆腐」


2007年10月―NO.60
どら焼きが薄い、ということ自体、新鮮な食感だった。
皮も餡子も甘めだが、その薄さゆえに程がいい。

梅花亭の「どら焼き」


2007年9月―NO.59
「んーっ!」 あたりから、驚きと溜息が起こった。
東北の秋の豊かさが、
このお土産に見事に凝縮されていた。

中松屋の「饗の山」


2007年8月―NO.58
涼しさ、辛さ、酸っぱさ、甘み……。
歯ごたえにうなり、刺激を追いかけ、
過激から逃げて安らぎ、また麺をすする。
器の中でそれを繰り返し、
食べ終わった時の、えもいわれぬ涼やかな満足感……。

ぴょんぴょん舎の「盛岡冷麺」


2007年7月―NO.57
この一粒の宝石を味わいながら、
顔をすぼめ、目を細め、
私は季節の幸せに、思わず微笑む。

源吉兆庵の「陸乃宝珠」


2007年6月―NO.56
きな粉のざらざらと、
黒糖蜜のコクのある強い甘さが混じりあい、
それがやがて、ひんやりとしたくず餅の
ぶりぶりとした冷淡な歯ごたえと 絡み合っていく

船橋屋の「くず餅」


2007年5月―NO.55
これ以上引くものがないほど引き算をした麺である
あえて究極の引き算で勝負したのには、
厳選した素材への自信と、強いポリシーが感じられる
雲仙きのこ本舗の「養々麺」


2007年4月―NO.54
いっぺん食べたら忘れられない、
強烈なインパクトのおせんべい
うまい餡子を食べた後は、
お茶の味が体にしみ入る気がする

柴舟小出の「柴舟」と中田屋の「きんつば」


2007年3月―NO.53
この味は、忘れがたい。
ヘラにこびりついたごはんまで、
歯でこそいで食べたことは言うまでもない

木やだんごの「五平餅」と 木曽ごへ〜本舗の「ごへ〜餅」


2007年2月―NO.52
あのチョコレートの畝の隙間に挟まったクルミを見ると、
懐かしさと同時に、ふっと合格発表の日の、
羽根の生えたような嬉しさを思い出す

喜久家洋菓子舗の「チョコレートケーキ」


2007年1月―NO.51
真面目で素朴であることは、なんてすてきなことだろう
私は「鳩サブレー」に、由緒正しき焼き菓子の香りを嗅いだ

豊島屋の「鳩サブレー」





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