身近な生活の中のおいしさあれこれを1ヶ月に1度お届けします 森下典子
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2005年7月―NO.33
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夏になると自然に、 「ナタデココ」や「タピオカ」などの、
アジアンデザートを 食べたいと思うようになった

森永乳業の「ナタデココヨーグルト」、 フジッコの「ナタデココプレーン」、
安曇野食品工房の 「ココナツミルクタピオカ入り」


森永乳業の「ナタデココヨーグルト」
森永乳業の「ナタデココヨーグルト」
(画:森下典子)

 このごろの日本の夏は、妙に東南アジアっぽい。今年も6月から「兵庫県で37度」という異常な高温を記録した。亜熱帯地方の花だったブーゲンビリアやハイビスカスが、わが家の庭にも咲いている。
 この気候のせいだろうか。夏になると自然に、「ナタデココ」や「タピオカ」などの、アジアンデザートを食べたいと思うようになった。
 私が初めて「ナタデココ」を口にしたのは、今から7、8年前のこと。それは一見すると、あんみつの中の寒天にそっくりだったが、食べるとまるで別物であった。
「ココナッツジュースを発酵させた食品」
 だというが、味も香りもなく、イカ刺しにそっくりな不思議な食感がするのである。
 森永の「ナタデココヨーグルト」は、小さな賽の目に切られたナタデココがコリコリし、フジッコの「ナタデココ プレーン」は、サイコロくらいの大きさがあって、噛むとブニブニとした噛み応えがする。
 ブニブニと噛むと、歯がナタデココに埋まり込んで行くが、繊維質が猛烈に邪魔をして、思うように噛み切れない。噛みにくいから私は、なんだか、
「負けてなるものか」
 という気分になって、思わず歯に力が込もるのである。ナタデココも、
「そうやすやすと、潰されてたまるか」
 とでも言うように、最後の最後まで意地と気骨を示す。
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