身近な生活の中のおいしさあれこれを1ヶ月に1度お届けします 森下典子
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2006年2月―NO.40
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長く厳しい冬を越えて、やっと春は来る。
そんな北海道の歓喜が、 このチョコレートの中に、 詰まっている気がした…

六花亭の「ホワイトチョコレート」、 「ストロベリーチョコレート」


六花亭の「ホワイトチョコレート」
六花亭の「ホワイトチョコレート」
(画:森下典子)

 そういえば、北海道は日本の一地方でありながら、なんとなく日本ではない。
 旅行や取材で北海道に行くと、
「あんた内地の人?東京?やっぱり、北海道はしばれるっしょ」
「内地から取材に来たの?いやいやいや、ゆるくないね」
 などと、よく声をかけられる。本州を「内地」と呼ぶからには、どうやら北海道の人たちも自分のいる場所を「外地」だと思っているらしい。
 青森県までは「地方」であるのに、津軽海峡を挟むと急に、吹く風に外国の香りがするのである。
「ボーイズ・ビー・アンビシャス!」
 の進取の精神なのか、明治の開拓者の気概なのか、あるいはヨーロッパに似た気候で、酪農やワイン作りが盛んなせいかもしれない……。
 その「外国っぽさ」が、六花亭の洋菓子やチョコレートに、ふんだんにふりかかっている。しかも、北海道でしか買えない。
 だから、魅力的なのである。ありがたいのである。みんな北海道の帰りにはこれを買うし、たまにデパートの北海道物産展で一部の商品が販売されると、「六花亭よ、六花亭よ」と、人が群がる。
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