身近な生活の中のおいしさあれこれを1ヶ月に1度お届けします 森下典子
2004年5月―NO.20
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牛乳の自然でほのかな甘みと、
南蛮菓子の素朴な卵の風味と甘さを、共に味わいたい。
松翁軒の「カステラ」
マグカップに牛乳
(画:森下典子)
松翁軒のカステラを食べるとき、私は飲み物は、コーヒーでも紅茶でも日本茶でもなく、牛乳が似合うと思っている。その牛乳は、冷蔵庫から出したばかりのキリキリと冷えたものではなく、常温に戻したものがいいと思う。それを、ガラスのコップではなく、唇の触れる部分が優しいアールになった、厚みのある陶器のマグカップで飲みながら、カステラを食べたい。
常温の牛乳の自然でほのかな甘みと、あのもろもろとそばだつ南蛮菓子の素朴な卵の風味と甘さを、共に味わいたい。
「黄色と茶色」には、優しい「白色」が一番似合う気がする。
食べ物を食べるとき、人は、その色を食べているのだ。
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