身近な生活の中のおいしさあれこれを1ヶ月に1度お届けします 森下典子
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2008年7月―NO.69

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これを1粒頬張ると、ほどよい酸味とまろやかな甘みに、
こんこんと新鮮な唾液が湧き、深い旨みの境地に連れて行かれる

梅いちばんの「黄金漬」



時々、種を割って中身も食べる
(画:森下典子)

 祖母は93歳で亡くなるまで、毎日梅干しを欠かさなかったし、今でも私は、毎日1つは梅干しを食べる。
 ある時、知人からいただいた梅干しにハマり、以来20年、うちではずーっとその梅干しばかり取り寄せている。「梅いちばん」の「黄金漬」である。「黄金漬」は、紀州南高梅に蜂蜜を加えて熟成させたもので、皮肌が軟らかくて透明感があり、果肉もたっぷりと多い。これを1粒頬張ると、ほどよい酸味とまろやかな甘みに、こんこんと新鮮な唾液が湧き、深い旨みの境地に連れて行かれる。いつまでも種をしゃぶり、時々、種を割って中身も食べる。
 私が大きな病気をしたことがないのは、「天神様」のおかげかもしれない。

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